徒花の妖精 “Nature Matters”
腹が立つほど滑るパズル。
ちなみに滑る床のパズルではない。
通り道を緑化する力を持つ主人公を操作して、全ての大地に緑を蘇らせてまわる一筆書きパズル。
タイトルの通り環境問題をモチーフにしたストーリーとなっていて、主人公の花の精は自身の手入れをしてくれていた少年を探して世界を巡る旅に出る。
花の精なのに緑化した道が通れなくなるというのは設定が逆のように思えるが。
このパズルはワープのギミックと鍵によるエリア開放によって辿る順番に制限をかけるというねじれの作り方をしているが、その試みはほとんどの問題で失敗している。
この枠組とは相反する、広い空間を隙間なく敷き詰めるという枠組を同時に組み込んでしまっているため、結果として余白が相当広いという考えるまでもない一筆書きパズルになってしまっていた。
全体的な手順を考える必要のない単調な一筆書きパズルの典型例と言える。
手応えのないパズルならばせめてUIはまともであってほしいのだが、残念ながら操作性も悪い。
どういうわけか、同じ方向に動き続けると加速が入り、見かけの上では斜めに動けるという妙にアクションチックな移動になっていて思わぬ事故の元となってしまっている。悩んでリセットした回数よりも事故でリセットした回数のほうが多いのではないだろうか?
ただのパズルで一体どうしてこんな処理を入れたのか、マヌケにはさっぱり理解できない。
花の精の通り道が滑らかに色付く様や季節に応じたエフェクトを纏いながらワープする様は綺麗だが、それだけである。
見た目の美しさにこだわることのほうが楽しくなってしまうというよくあるパターンに陥ってしまった一例だろう。
ちなみに、このゲームは花の開花を表現するためにわざわざ進行度を%で表しているが、Summerは最後の問題がクリア扱いにならないため95%で止まってしまう。
この最後の問題はあと1マス埋める前にクリア判定が入ってしまったり、全てのマスを埋めてもクリア扱いにならないなど挙動がおかしなことになっている。おそらくはイベントのある熊の前のマスをゴールにせずとも解けてしまうことが原因だろうか。
その程度の簡単な例外すらも想定できないのなら、単調なパズルになるのも道理である。