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パズルゲーム感想アーカイブ

瓦礫の山往く瓦礫の心 “Machinarium”

謎解きで詰まって先に進めない?そんなことより五目並べやろうぜ!

緑のない荒廃した大地に聳え立つスクラップの城。そこから放り出されたスクラップのロボット・ジョセフを操作し、彼の目的を達成できるように導いていくポイント&クリックの謎解きゲームである。

ポイント&クリックではあるが、「ポイント」は主人公自らが動く形で行われ、「クリック」は主人公の視点での反応が返ってくる。
主人公の移動は自由なものではなく、ポイント&クリックらしく決められた立ち位置を切り替えるという具合だが、それでも視点が一人称ではなく三人称というのは珍しいだろう。
また、主人公はスクラップの体を伸び縮みさせることができ、これが謎解きに影響を与える。手が届かない場所でも体を伸ばせば手が届き、天井の低い場所は体を縮ませれば通れるようになる。
同じ場所をクリックしても主人公の状態で結果が変わってくるのもこれまた三人称視点ならではである。

謎解きの中身だがやや難易度が高い。得た情報の照合というポイント&クリックではお馴染みのことも、注意深く観察して正しい手順を踏まなければ正解に辿り着けない。
何をどこに使うべきかは明確だが、どう使うべきかはそうではない。考えるべきことは情報の対応関係だけでなく、情報を得るためにも周りをよく観察して正しいアクションを起こさなければならない。
観察眼と発想力を求めるこの作品の謎解きは一筋縄ではいかない。その難しさたるや、ノーヒントでのクリアには至らなかったほどだ。このゲームにはぼんやりしたヒントの他にも答えそのものすらも提示してくれる機能があり、マヌケは電線の鳥でそれを使用している。

情報の単純な点つなぎではなく、対応関係の手続きの仕方まで問うこの作品の謎解きは確かに手の込んだパズルではある。しかしながら、背景の描き込みの結果か、あるいは情報が浮いてしまうことを避けてだろうか、拾えるアイテムや調べられる場所がわかりにくくなってしまっていて、探索漏れが少なくない数発生してしまった。
調べられる場所はそう多くないのだが、それでも反応のある箇所を見落としてしまうので、探索は結局総当たりとなってしまった。

また体が伸び縮みする主人公の特性だが、これが謎解きのギミックとして機能することは少なかった。
むしろ手の伸ばせる範囲の方が重要な働きをすることが多かったが、手の可動域は最初に表示されるだけであとは目測するしかないこと、さらには体と違って手は伸び縮みさせられず、実際に手を伸ばして届くかどうかを確かめられないためか、そこ届くのかよ!?と納得のいかない思いをすることが少なくなかった。

しかも、この作品は操作面での欠点も抱えていて、反応が悪いのか、はたまた反応する範囲が狭いのか、正しい動作をしているにもかかわらず何も起こらず先に進めないということが何度か起こった。
プラットフォームの関係だろうか?然るべき場所にアイテムが使えない、ページが捲れない等々、正解に近いところまで来ていたのに無駄にした時間は馬鹿にならない。

ゲーセンの倉庫番問題集や単純なスライドパズルなど、パズルとして独立した問題は総じて面白かったので、もしこの制作者が純粋なパズルゲームを出したならば是非買いたいが、謎解きゲームは二度とやりたくない。次こそはノーヒントクリアしてやるという気にもならない。
私がこの手のゲームを苦手としている一番の理由は探索漏れのケアが面倒なことなので、これが解消されない限りどんなに凝った謎解きがあったとしてもストレスが上回るだけのような気がする。