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パズルゲーム感想アーカイブ

失われたアナログの感触 “Glopy”

ボールが空を飛んだ時は思わず乾いた笑いが出た。

溝が掘られた球状のおもちゃを操作して、ボールを指定のゴールまで転がすパズル。
おもちゃは4段構成となっていて、それぞれの段をスライドして回すことでずれた溝を揃えるのだが、おもちゃの中のボールは操作中の視点とデバイスの傾きに従い一斉に動く。ボールにはそれぞれ色が付いていて、対応する色のゴール以外に落としてしまうとミスとなるので、それぞれのボールがゴールまで転がるようにうまくおもちゃを操作しなければならない。

おもちゃの中には強制的に着色する溝や回転を制限するストッパーもあり、思考停止でガチャガチャやるだけでは解けないため少なくともパズルであることは間違いない。
しかしながら、どの問題も全てのボールを一列に並べて一個ずつ落としていくアプローチが最も楽な解き方となってしまっていてまるで手応えがなかった。
どのボールをどの順番にどのルートで落とすかはパズルでも、それさえわかってしまえばあとは一個ずつ残りを隔離しながら落としていくだけの作業でしかない。見えぬ裏側を補完して解こうものなら事故でやり直しになるだけだ。

そしてそれ以上に深刻な欠点が、おもちゃの操作性が最悪なことだ。
触る、回す、傾けるといったアナログでは簡単にできることがままならないストレスを感じるのはこのゲームも例外ではないが、重力がデバイスの傾きに依存するという仕様が特に面倒で、微調整をやりづらくさせている。
さらに、段と段の間にボールを挟んでいる状態でスライドするとボールがガクガクと不自然に震え、前後が入れ替わったり、隣の溝にワープしたり、酷い場合はおもちゃから外れてあらぬ方向へ吹き飛んだりなど挙動も不安定である。

大して難しくもないパズルがたったの24問とボリュームは薄いが、感じた苛立ちと疲労はかなりのものである。
パズルとして面白くない以前に、そもそもおもちゃとしてすら面白くもなかったこのゲームは、何も考えずにアナログパズルをデジタルにしてもろくなことにならないという好例だろう。